紙の服薬管理記録(MAR)を使い続けている成人デイサービスセンターの多くは、紙が好きだからeMAR(電子服薬管理記録)を避けているわけではありません。彼らが避けているのは、データ入力やスタッフの再教育、移行期間中にミスを犯すことへの不安といった「切り替えそのもの」です。
その不安はもっともですが、段階的に計画を立てれば、移行は見た目よりもずっと管理しやすくなります。本ガイドでは、紙の記録の整理から本格的な運用開始までの手順を解説します。
成人デイサービスがeMARへ移行する理由
成人デイサービスにおける服薬管理は、居住型介護施設とは異なります。利用者の到着・出発時間はバラバラで、週2日利用する人もいれば5日利用する人もいます。また、昼の服薬時間は、アクティビティや食事、送迎の真っ只中と重なることがよくあります。そのため、服薬漏れが発生しやすく、後から漏れがなかったことを証明するのも困難です。
eMARは、紙の記録が抱える根本的な問題を解決します。スタッフは個別のチャートを確認しなくても、服薬が必要なもの、予定されているもの、期限を過ぎたものを一目で把握できます。すべての服薬記録にはタイムスタンプが押され、担当したスタッフが紐付けられます。服薬拒否や服薬漏れも空欄のままにせず、明確に記録されます。監査人や家族、医師から記録を求められた際も、コピーを取る必要はなく、データをエクスポートするだけで済みます。
ステップ1:まずは紙の記録を整理する
整理されていない状態で移行してはいけません。システムに入力する前に、現在使用中のすべての紙のMARを取り出し、最新の医師の指示書や薬局の記録と照らし合わせて確認してください。
利用者ごとに、薬剤名、剤形、用量、投与経路、スケジュール、開始日を確認します。中止されたもの、指示が不明瞭なもの、およびすべてのPRN(必要時投与)薬とその使用条件にフラグを立ててください。アレルギー情報や診断名が最新であることも確認しましょう。これらはeMARやエクスポートされたMARに表示されるためです。
これは、しばらく服薬リストが見直されていない利用者を見つける良い機会でもあります。移行作業を単なるデータ入力ではなく、服薬情報の照合プロセスとして捉えてください。
ステップ2:入力前に設定を構成する
StoriiCareでは、eMARの設定は各利用者のプロファイル内にある「医療情報(Medical Info)」>「服薬(Medication)」から行えます。設定ホイールを開き、eMARのタスクスケジュールがオンになっていることを確認してください。
最初に決めておくべきことがいくつかあります。新しい薬剤をデフォルトで「定期」にするか「PRN(必要時)」にするか(薬剤ごとに変更可能です)、MARのPDFに薬剤タグを表示するか、eMARダッシュボードにどの利用者情報を表示するかなどです。多くのセンターでは、氏名、生年月日、診断名、アレルギー情報を選択しています。
スタッフの権限を見直すことも推奨されます。服薬介助を行うスタッフには少なくともeMARへの「追加/保存」権限が必要であり、レポートを出力するスタッフには「エクスポート」権限が必要です。
ステップ3:慎重に薬剤を入力する
このステップは最も注意が必要です。なぜなら、一度StoriiCareに薬剤が保存されると、変更できるのは終了日と管理メモのみだからです。
各薬剤について、名称、剤形、数量と単位、投与開始日を入力します。次にスケジュールを追加し、毎日の投与時間を設定します。投与方法や利用者固有の注意点も記載してください。これらはケアの現場でスタッフが参照することになります。
eMARの使用開始前からStoriiCareに薬剤データがある場合は、それぞれを新しいeMAR対応の項目にコピーし、古いバージョンを履歴としてマークすることができます。この際、数量、用量、頻度、スケジュールは再入力が必要です。
実践的なヒント:保存する前に、一人が入力し、もう一人が紙の記録と照らし合わせてチェックするようにしましょう。時間はかかりますが、後からエラーを修正するよりはるかに効率的です。
ステップ4:在庫管理を行うかどうかを決める
在庫管理は任意ですが、特に向精神薬や家族が薬剤を持参する利用者の場合は検討する価値があります。StoriiCareの在庫機能を使えば、バッチ(ロット)ごとに総投与数を追加でき、スタッフがeMARタスクを完了するたびにバッチを選択して使用量を確定できます。在庫数は自動的に更新されます。
在庫管理機能を利用する場合は、スタッフが業務を開始する前にバッチを設定してください。
ステップ5:スタッフへの日常業務フローのトレーニング
日常業務はシンプルに設計されています。スタッフはeMARダッシュボードを開き、その日に投薬が必要な利用者、今後の予定、期限を過ぎたタスクを確認します。対象の利用者をクリックし、該当する薬を選択して、投与後にチェックを入れるだけです。
トレーニングで説明すべき主な項目:
- PRN(必要時)投薬 「PRN追加」ボタンから必要に応じて追加し、完了処理を行うか、特定のスタッフに割り当てます。
- 拒否または未実施の投薬 「X」で記録し、その理由(拒否、早退など)をメモとして追加するようスタッフに指導してください。これにより、印刷されたMAR上で空欄よりも明確に状況が把握できます。
- 期限後の投与 「期限後に完了」と表示され、監査証跡にはタスクが完了として記録された正確な時刻が残ります。
- メモの追加 副作用や異常があった場合は、タスクにメモを追加してください。
トレーニングは短時間で実践的に行いましょう。スライドショーを見るよりも、実際に誰かのサポートを受けながら1回投薬業務を行う方が、スタッフは早く習得できます。
ステップ6:紙とeMARの併用期間を経て、完全移行する
最初の1〜2週間は、両方のシステムを並行して運用することをお勧めします。スタッフにとっての安全策となり、紙の運用を終了する前に記録を照合して設定ミスを防ぐことができます。
移行完了日を明確に定め、それを遵守してください。両方のシステムを長期間併用すると業務負荷が倍増し、どちらの記録が正式なものか混乱を招きます。移行後は、州の保管要件に従って紙のMARをアーカイブしてください。
ステップ7:蓄積されたデータを活用する
運用開始後は、紙の記録では不可能だった可視化が可能になります。今日のタスクの完了状況、時間通りの投与、期限超過、未完了の件数がダッシュボードで一目でわかります。利用者ごとの傾向やサポートが必要なスタッフを特定し、その日のうちに問題に対処できます。
記録が必要な場合は、利用者のプロフィールから個別のMARをエクスポートするか、グループや期間を指定して一括エクスポートしてください。スタッフのイニシャルはPDFに自動入力されるため、監査の前に手作業で記録を再構築する必要はありません。
避けるべき一般的な落とし穴
- データ入力の急ぎすぎ。 eMAR(電子服薬管理記録)に関する問題の多くは、日常的な使用ではなく、初期設定に起因しています。
- 照合を省略すること。 古い指示をそのまま移行すると、過去のミスをデジタル化するだけになってしまいます。
- PRN(必要時投与)のルールを曖昧にすること。 スタッフには、必要時投与薬をいつ使用すべきか、明確な指示が必要です。
- 切り替え日を設定しないこと。 並行運用はあくまで一時的なものにすべきです。
- フェイスシートの更新忘れ。 MARはそこから利用者の詳細情報を取得するため、常に正確な状態を保つ必要があります。
導入の準備はできていますか?
紙からeMARへの移行は、単なるITプロジェクトではありません。これは、服薬記録を整理し、業務プロセスを改善し、忙しい日々のスタッフの負担を一つ減らす絶好の機会です。
StoriiCareをご利用中のお客様は、サポートチームが移行計画を支援いたします。support@storii.comまでメールでお問い合わせいただくか、ライブチャットをご利用ください。まだStoriiCareをご利用でない場合は、 デモを予約する から、eMARが貴施設の日々の業務にどのように役立つかをご確認ください。






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